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    【特許】要注意!新商品の発表は計画的に 弁理士児島敦のメルマガ 【第29号】

     2012年4月6日 第29号(毎月第1・3水曜日配信予定)

     スーパーなどでパックで売っている切り餅。
     10年ほど前から切り込みが入っている商品が販売されるようになって、
     ふっくらと形良く焼けるようになったなあと感心していました。
     
     実は、この切り込みの位置については、業界2位の「越後製菓」が
     1位の「佐藤食品工業」を特許侵害で訴えており、
     先日、知財高裁が越後製菓の損害額を約8億円とする判決を下しました。
     
     消費者は切り込みの位置の違いをどれほど気にかけていたでしょうか?
     特許の及ぶ範囲の判断が難しいことを示すひとつの例と言えるでしょう。
      
     【特許】要注意!新商品の発表は計画的に

     新商品を開発して自社ブランドの目玉にしよう・・・!

     そんな目標を掲げたAさんの会社。
     みんなの努力が実を結び、新しい技術を使った新商品が開発できました。
     
     企画段階で市場に類似商品がないかを調査し、
     産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)について、
     他社の権利を侵害してないことも調査済み。

     「発売前に業界雑誌でも新たな発明品として大きく紹介してもらえたし、
      会社のPRにもなった。これで新商品が売れれば万々歳・・・」

     そう思っていたら、思わぬ落とし穴が!
     Aさんの会社は、その新商品の特許出願を後回しにしていたのです。

     特許権は日本国内または外国で公然に知られた発明には付与されません。
     新商品の技術は新規性があるとして、業界内でも高く評価されたのに、
     特許出願する前に世間に発表してしまえば、
     その発明は新規性を失い、公知のものとなってしまいます。

     「じゃあ、もうこの新商品の特許は取れないの!? どうしよう!?」

     大丈夫です。慌てなくても救済措置はあります。
     2012年4月1日から特許法が改正され、
     たとえ公表してしまっても6ヶ月以内に出願すれば、
     新規性は喪失していないと見なされ、特許出願できるようになりました。

     しかし・・・
     発表から出願までの間に、別の誰かがあなたの会社より先に、
     同じ内容で出願をしてしまったら・・・?

     日本の特許法は“先願主義”です。
     つまり、最初に特許出願した方に特許権が与えられる“早い者勝ち”。
     特許出願を後回しにしていると、
     Aさんの会社が行った公表が新規性を喪失していないと見なされたとしても、
     Aさんは 特許権を取得できなくなってしまします。
     そうなれば、あなたの会社は多大な損失を被ることになります。

     新商品の発表と特許出願のタイミングは計画的に!
     あなたの会社の技術とブランドを守るために・・・
     特許を最大限に活用していきましょう!

      <次回は商標をクローズアップ!>
     「ここが大事!商標の類似判断」をテーマにお話しします!
     


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