■「Asahi」ロゴマーク事件(東京高裁 H8.1.25 平成6年(ネ)1470号事件)

    ロゴマークは著作物か?
    ●事件の概要
     ビールの製造、販売等を業としていて、「Asahi」をデザインした文字標章をその営業表示及び商品表示として使用しているアサヒビールが、「Asax」をデザインした文字を営業表示として使用している米の販売業者に対し、不正競争防止法に基づき被告標章の営業表示等としての使用差止め等を求めた事件。

     1審判決は、原告標章と被告標章とは、称呼、観念、外観のいずれにおいても類似するものではないとして、原告の請求を棄却した。控訴審も1審判決を維持した。控訴審では、控訴人(原告)は、控訴人(原告)標章は著作物に該当するとして、著作権に基づく使用差止めも求めた。

    ●裁判所の判断
     言語を表記するのに用いる符合である文字は、他の文字と区別される特徴的な字体をそれぞれ有しているが、書体は、この文字を基礎として一定の様式、特徴等により形成された文字の表現形態である。
    いわゆるデザイン書体も文字の字体を基礎として、これにデザインを施したものであるところ、文字は万人共有の文化的財産ともいうべきものであり、また、本来的には情報伝達という実用的機能を有するものであるから、文字の字体を基礎として含むデザイン書体の表現形態に著作権としての保護を与えるべき創作性を認めることは、一般的には困難であると考えられる。仮に、デザイン書体に著作物性を認め得る場合があるとしても、それは、当該書体のデザイン的要素が「美術」の著作物と同視し得るような美的創作性を感得できる場合に限られることは当然である。

    原告ロゴマークは、デザイン的な工夫が凝らされていることは認められるが、この程度のデザイン的要素の付加によって美的創作性を感得することはできず、著作物と認めることはできない。

    控訴人(原告)標章被控訴人(被告)標章

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