児 島 特 許 事 務 所
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© 2005 Atsushi Kojima
強い特許を取得するためには

 発明を的確に把握するとともに、充分に実施の形態を開示する必要があります。
 
 (1)発明を的確に把握する。
 
 最初に行わなければならないとても大切な作業です。
 発明の把握を誤ってしまって、ボタンの掛け違いをしてしまうと、その後の調査・出願の労力と費用がすべて無駄になってしまいますし、他社の権利侵害の火種をつくることになります。
 発明を的確に把握できなければ、有効な実施形態を開示することもできません。

 具体的には、次のステップを踏んで、発明を把握します。

  ・これまでは、どのようにやっていましたか(従来技術)。
  ・従来、どんな不具合(課題)がありましたか。
  ・あなたはその不具合(課題)を、どのように解決しましたか(手段・構成)。その結果、どのような効果が得られましたか(効果)。

そして、上記のうちの手段・構成が、権利化をしたい部分になります。

 
ここで、理解の容易のため、ごく簡単な構成の「転がり防止の鉛筆」を例に取りますと、以下のようになります。

 ・従来、鉛筆は、円柱状の形状であった(従来技術)。
 ・従って、斜めになっている場所に置くと、転げ落ちてしまい、芯が折れやすいという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした(手段・構成)。
 ・その結果、転がりにくく、転げ落ちて芯が折れることもないという効果が得られる(効果)。

そして、「鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした」手段・構成が、権利化をしたい部分になるわけです。

次に、もう少し複雑な構成からなる、駅などに設置されている「貸しロッカー(いわゆるコインロッカー)の硬貨投入装置」を例に取ってみます。

 ・従来、貸しロッカーは、使用しているときもそうでないときでも硬貨投入口は開いたままであった(従来技術)。
 ・このため、使用中であることに気づかずに貸しロッカーに硬貨を投入してしまうことがあり、硬貨計数装置や、ロック機構の故障の原因となってしまうという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構(例えば、カム機構)を利用して、貸しロッカーから鍵が抜かれ貸しロッカーが使用されている場合には、貸しロッカーの硬貨投入口を遮蔽板が塞ぎ、硬貨の投入を禁止するとともに、貸しロッカーに鍵が挿入され解錠されている場合には、遮蔽板を待避位置に待避させて硬貨投入口を開くことを考えた(手段・構成)。
 ・その結果、ユーザがロッカーの使用中であることに気づかずに貸しロッカーに硬貨を投入してしまうことが無くなり、ひいては、硬貨計数装置や、ロック機構の故障を招くことがないという効果が得られる(効果)。
 
そして、「鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構(例えば、カム機構)を利用して、貸しロッカーから鍵が抜かれ貸しロッカーが使用されている場合には、貸しロッカーの硬貨投入口を遮蔽板が塞ぎ、硬貨の投入を禁止するとともに、貸しロッカーに鍵が挿入され解錠されている場合には、遮蔽板を待避位置に待避させて硬貨投入口を開く」という手段・構成が、権利化をしたい部分です。

 (2)充分な実施形態を開示する。
 上記のように的確に把握された発明を強い特許にするためにはどのようにすればよいでしょうか。

 強い特許というのは、基本的には次の3つの要件を備えている特許だといえます。
 すなわち、1)侵害追求が容易である。
      2)特許性が高く、無効になりにくい。
      3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない。
です。
 これらをバランス良く備えた特許が強い特許となります。
 それでは、それぞれの要件について検討してみましょう。


1)侵害追求が容易である。

 侵害追求が容易であるためには、さまざまな実施形態(手段・構成)を包含する請求項が記載されている必要があります。
すなわち、製品(実施品)態様の請求項だけでは、侵害の要件の立証が容易でなく、侵害追求が困難となることもあり得ます。

 例えば、上述の貸しロッカーを例にとると、鍵の操作に連動して硬貨投入口を遮蔽する遮蔽板を設けるに際して、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構を実際の製品と同一もの(例えば、カム機構)だけを開示し、特許の権利範囲を記載する請求項に記載していたのでは、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるため他の機構(例えば、リンク機構)を利用して同様の貸しロッカーを製造等しているものについて、侵害を追求できません。
    画像を挿入                  画像を挿入             カム機構                  リンク機構 したがって、これらのものにも侵害が追求できるように、「他人がこの実施形態から逃れようとしたら、どのような態様で実施してくることが考えられるか?」を十分に検討し、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構として様々な態様に対応する請求項についても記載しておくのが好ましいこととなります。

なお、上述の貸しロッカーの発明において、請求項が、「鍵の挿入または抜取により硬貨投入口を開閉する遮蔽板を備えたことを特徴とする貸しロッカーの硬貨投入口開閉装置」と記載されており、カム機構やリンク機構、その他さまざまな中間伝達機構を用いた実施形態を含むように記載されていたとしても、カム機構を用いた実施形態のみの記載しかない場合には、例えば、リンク機構を用いて硬貨投入口を開閉する遮蔽板を用いた他人の実施には、特許権が及ばなくなり、特許権侵害を追求できなくなります。
したがって、カム機構の他に、リンク機構などの他の中間伝達機構を用いた実施形態を記載しておく必要があります。


2)特許性が高く、無効になりにくい。
 特許性が高く、無効になりにくくするためには、従来技術との技術思想上の相違を可能な限り主張できるように分析し、明細書に記載しておく必要があります。
 すなわち、従来技術の構成と出願発明の構成との差異を明確にすることはもちろん、従来技術の構成と出願発明の構成との差異よってもたらされる作用・効果の差異を明確にしておく必要があります。
 この結果、進歩性の根拠を主張しやすくなり、無効原因をより回避することができます。

 3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない。
 さらに解釈上の疑義が生じにくく、隙がないということは、用語が明確(社内用語等は用いず、JISで用いられている用語を用いる)であるとともに、技術的範囲が明細書に開示された実施形態に基づいて解釈されたとしても必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示しておくことが望まれます。

 そして、上記の要件を満たすためには、より多くの実施形態をご呈示いただくことが必要となります。これにより、より上位概念を抽出し、必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示した強い権利を生み出すことが可能な明細書を作成することができるのです。


 そして、最終的には、その発明・考案を実施した商品を販売したときに、確実に利益を上げることができることを目的とします。

 特許権・実用新案権は、同じ内容の出願(申請)が競合した場合には最初に特許庁に出願(申請)したものにのみ権利が付与される(先願主義)こととしています。
 したがって、1日もはやく特許出願(特許申請)・実用新案登録出願(申請)することが大切です。出願(申請)に必要なすべての資料をいただいてから、できる限り早く出願(申請)をするよう心がけております。

 


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