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どうやったら強いソフトウェア特許が取れるの?

 発明を的確に把握するとともに、充分に実施の形態を開示する必要があります。

(1)発明を的確に把握する。

 最初に行わなければならないとても大切な作業です。
 発明の把握を誤ってしまって、ボタンの掛け違いをしてしまうと、その後の調査・出願の労力と費用がすべて無駄になってしまいますし、他社の権利侵害の火種をつくることになります。
 発明を的確に把握できなければ、有効な実施形態を開示することもできません。

 具体的には、次のステップを踏んで、発明を把握します。

  ・これまでは、どのようにやっていましたか(従来技術)。
  ・従来のやり方には、どんな不具合(課題)がありましたか。
  ・あなたはその不具合(課題)を、コンピュータを利用することによりどのように解決しましたか(手段・構成)。
  ・その結果、どのような効果が得られましたか(効果)。

 そして、上記のうちの手段・構成が、権利化をしたい部分になります。


 ここで、理解の容易のため、転がり防止の鉛筆を例に取りますと、以下のようになります。

 ・従来、鉛筆は、円柱状の形状であった(従来技術)。
 ・円柱状の形状だと、斜めになっている場所に置くと、転げ落ちてしまい、芯が折れやすいという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした(手段・構成)。
 ・その結果、転がりにくく、転げ落ちて芯が折れることもないという効果が得られる(効果)。

 そして、「鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした」手段・構成が、権利化をしたい部分になるわけです。

 ソフトウェアの発明についても同様です。
 
 例えば、所定の情報処理機能を示すアイコンの機能説明の構成を例に取ってみます。

 ・今日において、情報処理装置(パーソナルコンピュータ)は、マウス等のポインティング装置(マウス)を備えたウィンドウシステムを採用している。
 この場合において、機能説明に関しては、機能説明キーを設け、その機能説明キーの押下によってこの装置を有する機能全てを説明するか、機能説明のアプリケーションを起動した後で、キーワードの入力を行わせるものが多かった(従来技術)。
 ・しかし、この方法では、キーワードを忘れてしまった時や、知らない時に機能説明サービスを受けることができないという問題点があった(課題)。
 ・そこで、ポインティング装置(マウス)を移動させて、矢印で示されたマウスカーソルで、アイコン等の機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン(例えば、「ヘルプモード」のアイコン)を指定した後、所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコン(例えば、「通信」のアイコン)を指定すると、機能説明アプリケーションが起動し、ウインドウ内に第2のアイコンの機能説明文(例えば、「通信」のアイコンの機能説明文)がが表示されるパーソナルコンピュータ(情報処理方法)」を考えた(手段・構成)。
 ・その結果、所定の情報処理機能を示す第2のアイコンの機能説明が知りたい場合には、マウスで第1のアイコンを指定した後に第2のアイコンを指定することで、第2のアイコンの機能説明がなされるので、操作性に優れたパーソナルコンピュータ(情報処理方法)を提供することができるという効果が得られる(効果)。
 
 そして、手段・構成としての「ポインティング装置(マウス)を移動させて、矢印で示されたマウスカーソルで、アイコン等の機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン等(例えば、「ヘルプモード」のアイコン)を指定した後、所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコン等(例えば、「通信」のアイコン)を指定すると、機能説明アプリケーションが起動し、ウインドウ内に第2のアイコン等の機能説明文(例えば、「通信」のアイコンの機能説明文)がが表示されるパーソナルコンピュータ(情報処理方法)」が、権利化をしたい部分です。

(2)充分な実施形態を開示する。

上記のように的確に把握された発明を強い特許にするためにはどのようにすればよいでしょうか。

 強い特許というのは、基本的には次の3つの要件を備えている特許だといえます。
 すなわち、
   1)侵害追求が容易である、
   2)特許性が高く、無効になりにくい、
   3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない、
という要件です。
 これらをバランス良く備えた特許が強い特許となります。
 それでは、それぞれの要件について検討してみましょう。

 1)侵害追求が容易である。
 侵害追求が容易であるためには、さまざまな実施形態(手段・構成)を包含する請求項が記載されている必要があります。

 例えば、製品(実施品)全体の実施形態(手段・構成)の請求項だけでは、侵害の要件の立証が容易でなく、侵害追求が困難となることもあり得ます。
 より具体的にいえば、ソフトウェアをコンピュータネットワークシステム上で動作させているような場合に、コンピュータネットワークシステムだけを請求項に記載していたのでは、当該コンピュータシステムを構成しているサーバ装置やユーザ端末装置だけを製造等している者について、侵害を追求できません。
したがって、これらの者にも侵害が追求できるように、サーバ装置やユーザ端末装置の請求項、それらの装置の制御方法、制御プログラムの請求項についても記載するのが好ましいこととなります。

 さらに「他人がこの実施形態から逃れようとしたら、どのような態様で実施してくることが考えられるか?」を十分に検討し、これらの態様についても記載しておくのが理想的です。

 上記「所定の情報処理機能を示すアイコン等の機能説明」の発明における
「ポインティング装置(マウス)を移動させて、矢印で示されたマウスカーソルで、アイコン等の機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン等(例えば、「ヘルプモード」のアイコン)を指定した後、所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコン等(例えば、「通信」のアイコン)を指定すると、機能説明アプリケーションが起動し、ウインドウ内に第2のアイコン等の機能説明文(例えば、「通信」のアイコンの機能説明文)がが表示されるパーソナルコンピュータ(情報処理方法が)」として、
矢印で示されたマウスカーソルをアイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン(例えば、「ヘルプモード」のアイコン)の上へ重ね合わせ、マウスボタンをプレスして所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコン(例えば、「通信」のアイコン)の上へドラッグして移動し、マウスボタンをリリースする、いわゆる、ドラッグ・アンド・ドロップ方式の実施形態のみの記載しかない場合には、例えば、「ヘルプモード」ボタンをクリックし、次に、ツールボックスにある、例えば、「通信」ボタンをクリックすると、その「通信」の機能に関する説明が表示されるような、いわゆる、クリック・アンド・クリック方式の他人の実施には、特許権が及ばなくなり、特許権侵害を追求できなくなります。
したがって、ドラッグ・アンド・ドロップ形式の他に、クリック・アンド・クリック方式等の実施形態を記載しておく必要があります。
 また、より広い権利範囲、すなわち、技術的範囲が広く解釈できる請求項(より上位概念の請求項)が記載されていれば、侵害の様々な態様に対して、侵害をより確実に追求することが可能となります。
・そこで、ポインティング装置(マウス)を移動させて、矢印で示されたマウスカーソルを、アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン(例えば、「ヘルプモード」のアイコン)の上へ重ね合わせ、マウスボタンをプレスして所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコン(例えば、「通信」のアイコン)の上へドラッグして移動し、マウスボタンをリリースする(すなわち、アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコンを所定の情報処理機能を実行させる第2のアイコンにドラッグ・アンド・ドロップする)と、機能説明アプリケーションが起動し、ウインドウ内に第2のアイコンの機能説明文(例えば、「通信」のアイコンの機能説明文)が表示される情報処理装置(パーソナルコンピュータ)を考えた(手段・構成)。 
・その結果、所定の情報処理機能を示す第2のアイコンの機能説明が知りたい場合には、第1のアイコンを第2のアイコンにドラッグ・アンド・ドロップすることで、第2のアイコンの機能説明がなされるので、操作性に優れた情報処理装置を提供することができるという効果が得られる(効果)。
 
       2)特許性が高く、無効になりにくい。
 特許性が高く、無効になりにくくするためには、従来技術との技術思想上の相違を可能な限り主張できるように分析し、明細書に記載しておく必要があります。
 すなわち、従来技術の構成と出願発明の構成との差異を明確にすることはもちろん、従来技術の構成と出願発明の構成との差異よってもたらされる作用・効果の差異を明確にしておく必要があります。
 この結果、進歩性の根拠を主張しやすくなり、無効原因をより回避することができます。

 3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない。
 さらに解釈上の疑義が生じにくく、隙がないということは、用語が明確であるとともに、技術的範囲が明細書に開示された実施形態に基づいて解釈されたとしても必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示しておくことが望まれます。

 そして、上記の要件を満たすためには、より多くの実施形態をご呈示いただくことが必要となります。これにより、より上位概念を抽出し、必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示した強い権利を生み出すことが可能な明細書を作成することができるのです。
  
ソフトウェア特許の出願に際して
 ところで、ソフトウェアの特許は、基本的には、目に見えない処理手順(アルゴリズム)を権利化することにあります。
 したがって、具体的な処理手順を可視化しつつ、かつ、可視化された範囲内に権利が限定されないように様々な視点から表現していくことが大事になります。
 このために必要な資料としては、以下のようなものが挙げられます。
  (A)装置構成を説明するための資料
  (B)処理手順を説明するための資料
  (C)処理対象のデータの構成を説明するための資料
  (D)ユーザやオペレータとの間のユーザインタフェースを説明するための資料
  (E)装置の制御状態を説明するための資料

 以下、より詳細に説明します。

(A)装置構成を説明するための資料

 装置構成を説明するための資料は、具体的な処理手順を可視化するに際して、どのように発明を具現化したのかを明確にするために、具体的な装置、システム(装置)について説明します。
 例えば、
(1)スタンドアロンのコンピュータであれば良いのであればスタンドアロンのコンピュータのブロック図、
(2)通信ネットワークを介して複数のコンピュータが接続された通信システムが必要ならば当該通信システムのブロック図が必要です。
 もちろん、
(3)特定の装置を使用する必要があるならば、その特定の装置の外観図、ブロック図など
 例えば、玩具の発明であれば、玩具の外観図や特徴的な構成を示すブロック図が必要です。
 具体例:

(1)


 本例は、装置構成ブロック図の例です。

(出典 特開2009-086398号公報)




(2)


 本例は、通信システムのネットワーク構成図です。
 通信システムを構成している複数の装置の接続関係が容易に把握できるようにイメージ化します。

(出典 特開2009-217314号公報)




(3)




 本例は、画像形成装置(複写装置)の概要構成図の例です。
 画像形成装置の内部構成が明確になるように、断面図的な表現をしています。

(出典 特開2009-086398号公報)




(B)処理手順を説明するための資料
 そして、実際の処理手順を示すためには、一つの装置の処理手順(動作)を表すフローチャートや複数の装置間のやりとりを示すシーケンスチャートが必要となります。
具体例:
(1)フローチャートの例


 フローチャートは、原則として一の装置についての処理手順を時系列的に記載します。

(出典 特開2009−217314号公報)



(2)シーケンスチャートの例:


 本例では、二つのデバイス(装置)A、B間のデータのやりとりを時系列で表現しています。

(出典 特開2009-064341号公報)




(C)処理対象のデータの構成を説明するための資料
 処理対象のデータの構成としては、データの構造を示すデータの内部構成や、データの配置を示す図などが資料として用いられます。
具体的には、以下の通りです。
@各データの内部構成
 データと一口に言っても、一つの情報を含むものであるか、複数の情報を含むものであるかが異なります。
 したがって、データがどのような構成となっているのか(どのような情報を含むのか)を示す図です。
例えば、生年月日に関するデータの場合、データの先頭側から氏名データ(例えば、40Byte)、生年月日の年を表す年データ(例えば、2Byte)、生年月日の月を表す月データ(例えば、2Byte)、生年月日の日を表す日データ(例えば、2Byte)のように、内部構成がわかる図など。

Aデータの配置を示す図
 データ処理においては、データに含まれる情報が重要な場合の他に、処理に必要なデータを物理的にどのように配置しているかが重要である場合があります。
 例えば、記憶装置上に特定の順番でデータを配置することによりデータの検索速度が向上する場合や、各装置がデータを分散して持つことにより、データ抽出が容易になったりする場合があります。
 このような場合には、具体的にどのようにデータを配置しておけば、所望の効果が得られるのかを示すための図が必要となります。
 例えば、メモリ上におけるデータの配置(格納アドレス、データの並び順等)、記憶装置上におけるデータの配置、ネットワークを構成する各装置(端末装置、サーバー装置)にデータを分散して配置する場合に、各装置が格納しているデータの配置を示す図など。

 具体例:
(1)


 本例は、記憶装置内の記憶データのデータフォーマットを説明するものです。
 プリントデバイス情報400と呼ばれるデータは、デバイス名データ、IPアドレスデータ、ステータスデータ、プリントサーバ名データなどの複数のデータで構成されていること、すなわち、データの内部構成がわかります。

(出典 特開2009-217314号公報)




(D)ユーザやオペレータとの間のユーザインタフェースを説明するための資料
また、装置等の使い勝手などを説明するためには、操作画面などのユーザインタフェースを説明するための図面も必要となります。
具体例:
(1)


 本例は、ディスプレイ上に表示されたGUI(グラフィックユーザーインタフェース)としてのウィンドウ表示画面の一例です。
 GUIは、操作の対象がグラフィカルに表現されたユーザインタフェースであり、ユーザは、自己が行うべきコンピュータとのやり取りを視覚的に容易に理解でき、スムーズに処理を行うことができます。さらにマウスなどのポインティングデバイスを使用して操作を行う構成とすれば、より直感的にコンピュータを操作することが可能となります。
 このように、明細書中にユーザインタフェースを記載することにより、発明の把握が容易になるとともに、同様の画面を使用している侵害品の発見が容易となって、権利行使が容易となります。

(出典 特許第4018622号)




(E)装置の制御状態を説明するための資料
具体例:
(1)


 本例は、制御に伴って変化していく表示画面の様子を画面遷移図として表しているものです。

(出典 特許3942982号)



(2)


 本例は、制御状態の遷移を状態遷移図として表しているものであり、いずれかの制御状態から、どのような制御状態に移行していくのかをその遷移条件と共に示したものです。


実際にご相談いただく際に

 上述したような資料を当初からそろえるのはなかなか難しいことと思います。弊所に実際にご相談いただく際には、こんな機械を使ってこんなことをやっているんだけど……、というようなご説明でも結構です。可能な限りの資料を持ってきていただき、お打ち合わせの中で、必要な資料をそろえていきましょう!
 なお、実際のプログラムリストは、説明に必要な短いプログラムリストを除き、特許庁へ提出する明細書には添付することもできませんし、記載することも許可されておりませんので、説明にどうしても必要であるという場合を除いてお持ちいただく必要はありません。



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