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 (1)商標の識別性 
 自己の商品・サービスと他人の商品・サービスとを識別することができない商標
(自他商品・サービスの識別力を有さない商標)は登録できません。 
 識別力を有さない商標を商標として使用することは可能ですが、他人の商品・サー
ビスとを識別することができるようになるまでにかなりの企業努力が必要となりま
すので、原則として、識別力を有する商標を選択すべきです。 
 たとえば、「衣料品」に「comfrt」、「スレンダー/slender」、「靴」に「ellegance」、「smart」などは、識別力を有さない商標といえます。 
 
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(2)商標の類似性 
 文字商標の類似性判断においては、 
 @読みの特定 
 A読みが似ているかどうか 
のステップを踏むことになりますが、「読みの特定」はアパレル(衣料品)・ファッション業界における商品
やサービスの品質・内容等との関係からおこなう必要があります。 
 
 具体的にいうと、アパレル(衣料品)・ファッション業界における商品・サービスの普通名称や品質・内容などの
 識別力のない語との結合商標においては、識別力のない語の読みは無視されて類否判断されます。 
 例えば、衣料品について、「タッキーニJACKET」と「タッキーニ」とは相互に類似する商標ということになります。 
 
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 (1)関連する商品・サービス区分 
 アパレル(衣料品)・ファッション業界に関連する区分と商品・サービスは主として以下のものと考えられま
す。 
 
14類 貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計  
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18類 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具 
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23類 織物用の糸 
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24類 織物及び家庭用の織物製カバー  
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25類 被服及び履物  
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26類 裁縫用品 
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(2)商品・サービスの特定において留意すべき点 
 特に次のような商品・サービスは、その特定に誤りが生じやすいので留意が必要です。 
 
 1)たとえば、ブティックの店舗名称やマーク 
 いろいろなブランドの衣料品を品揃えしているブティックの場合には、ブティックの店舗名称やマークは、「被服の小売又は卸売りの業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」(35K02)に使用するサービスマークとして登録することになります。 
 ブティックで売られている衣料品がそのブティックのオリジナル商品であって、ブティックの店舗名称やマークが衣料品にも付されている場合には、「被服」(17A01〜17A04・17A07)の商品商標として登録しておけばよいものと考えます。ただし、ブティックの店舗名称やマークは、小売りサービスに該当すると考えることも可能なので、「被服」(17A01〜17A04・17A07)のみならず「被服の小売又は卸売りの業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」(35K02)についても商標登録をしている企業が多数あるようです。 
 また、ブティックの名前でフランチャイズしていくような場合には、「フランチャイズに基づく経営の指導」(35B01)についても登録を受けておく必要があります。 
 
 2)ノベルティ 
 ノベルティ=「おまけ」として無償で顧客に配布される販促品は、主たる商品の販売
促進を目的として宣伝広告物なので、ノベルティに表示されている商標は主たる商品の
商標であって、ノベルティの商標ではないと考えるのが基本原則です。 
 しかし、実際には、缶コーヒーのノベルティとして「BOSSジャン」プレゼントキ
ャンペーンをおこなった「サントリー」が、被服類について「BOSS」の商標権を所
有するドイツ紳士服メーカー「ヒューゴ・ボス社」から訴えられたように、裁判事件に
発展することがあります。 
 したがって、ノベルティに関しては、その物品の周囲に他人の商標権が存在しない
ことを確認したうえでキャンペーンをおこなうという慎重な態度が必要です。 
 3)小売店の店頭看板・通販カタログのタイトル・ホームページのタイトル 
 a)小売店の店頭看板 
 アパレルやアクセサリー等のファッション系小売店の店頭看板は販売標であり、これまでは、すべての取扱商品について商標登録を受けておく必要があったため、商標登録が複数の区分にまたがり、相当な出願費用、登録費用がかかる場合もありました。 
 しかし、2007年4月から、アパレルやアクセサリー等のファッション関連の小売等サービス(35類)について商標登録を受けておけばよくなりました。 
 
 b)通販カタログのタイトル 
 通販カタログのタイトルも小売店の看板と同じく販売標となりますので、たとえば、アパレルやアクセサリー等のファッション系通販カタログであれば、アパレルやアクセサリー等のファッション関連の小売等サービス(35類)について商標登録を受けておけばよくなりました。 
 
 c) ホームページのタイトル 
 インターネット販売が小売店販売や通信販売の延長線上にあるものですから、アパレルやアクセサリー等のファッション系インターネット販売におけるホームページのタイトルは、小売店の看板、通販カタログのタイトルに相当します。したがって、アパレルやアクセサリー等のファッション関連の小売等サービス(35類)について商標登録を受けておけばよくなりました。 
 
(1)商標の使用に該当する場合 
1)サービス 
 サービスの提供に関連して、他人のサービスと区別できる態様で商標を使用する場合、
サービスマークを使用しているといいます。 
 
 具体的には、 
  店頭=役務を提供する場所の看板、 
  役務提供の際に使用する物品、 
  インターネットも含めた広告媒体・ノベルティ、 
  パンフレット、価格表、 
  伝票その他の取引書類、 
などに商標を付するような場合です。 
 
 ブティックなどの小売店 
  店頭看板、 
  価格表、店員のユニフォーム、 
  割引きチケット、 
  レシート、 
 に商標を付したり、 
  テレビや新聞・雑誌でコマーシャルで商標を使ったり 
するような場合です。 
 
 
 2)商品 
 商品の販売に関連して、他人の商品と区別できる態様で商標を使用する場合、(商品)
商標を使用しているといいます。 
 
 具体的には、 
  店頭=商品を販売する場所の看板、 
  商品やそのパッケージ・包装・下げ袋、 
  インターネットも含めた広告媒体・ノベルティ、 
  パンフレット、価格表、 
  伝票その他の取引書類、 
などに商標を付するような場合です。 
 
 たとえば、婦人服の販売であれば、商標を、襟首のタグに付したり、値札に付したり、これら付したものを販売したり、下げ袋や商品パッケージ、店頭の看板に付したり、レシートに付したり、テレビや新聞・雑誌でコマーシャルしたり、などをすることが商品商標の「使用」にあたります。 
 また、商品のメーカーを表示する製造標も、商品の販売店を表示する販売標も商標です。したがって、たとえば、「セリーヌ」のタグがついているついた婦人服をこれを取り扱う三越で販売し、三越のマークがついている手提げ袋に入れて販売すれば、この商品には、「セリーヌ」と「三越」両者の商標が使用されていることになります。 
 
 商標が目立つところに表示されているとか、大きく表示されていることとは直接関係なく、その商品の取引の実態を考慮すべき 
 
 商品の販売やサービスの提供に関連して使用する場合に商標の使用となりますので、社標のバッジ・名刺・会社案内等、商品の販売、サービスの提供と関係のないところでの、ネーミングやマークの使用は商標の使用とはなりません。 
 そうは言っても、社標として使用するような大事なマークは他者から文句を言われないように商標登録をしておくべきです。 
 
(2)Tシャツの胸に大きく他人の登録商標に類似する図柄が描かれている場合、商標権侵害になるか? 
 裁判所では、装飾的なデザインであって、商標権を侵害しないと判断しています。 
 しかし、Tシャツの胸に大きく「ラコステのワニ」の図柄が表示されている場合、需要者はフランスのラコステ社の商標であり、商品であると認識するはずです。 
 また、本田技研の「HONDA」のロゴマークが表示されている場合には、本田技研が何らかの形で関係している商品であると認識するはずです。これらのように、他人の登録商標が表示されていれば、それが装飾的な使用であったとしても、需要者は商標として認識する場合が多いと考えます。 
 今後裁判所においても商標権侵害と認定されることも十分ありますので、他人の登録商標をたとえ装飾的な使用であるとしても、使用すべきではありません。 
 
(3)商品の並行輸入 
 外国商品の輸入ルートが正規代理店ルートのほかに他の輸入業者ルートがある場合に、
これを並行輸入といいます。外国商品のメーカーが日本での商標権者であったとしても
輸入商品が真正商品(外国の商標権者や商標権者からライセンスを受けたものが正当な
権限に基づいて製造した商品)である限り、並行輸入は認められています。 
 
(4)アパレル(衣料品)やアクセサリー・時計・かばんなどのファッションを取り扱う業界では、フランス語が用いられることが多いので、 
 @商標の識別性においても、フランス語が基準とされることが多く、 
 A商標の類否判断においても、欧文字がフランス語風に読まれ、また、同じ意味の英語  の商標とフランス語の商標との間でも類否判断がされることがあります。 
たとえば、 
 @「ブランシュ」、「BLANCHE」は「白い」「白色の」「純白の」を意味するフランス語であり、被服やかばんなどに使用すると「白色の商品」などであること、すなわち、その商品の色彩などを表示するにすぎないものであって識別力がないと判断される可能性が高く、 
 A「BARREAUX」(指定商品:被服)について「バロー」、 
 「VENT VERT」(指定商品:被服)について「バンベール」、 
の読みが生じるとされ、また、 
 「ALPINE」と「アルピーヌ」(指定商品:織物、編み物、フェルトその他の布地) 
は類似すると判断されています。 
 
ロゴマークをデザインするにあたって、注意するのは
  
1.その商品がどのようなものか一目で分かる事 
2.商品の性格が反映されている事
  
の2点と言えるでしょう。 
ロゴマークはお客様にあなたの必要としている商品やサービスはこれですよ、と表現します。
商品やサービスにとってロゴマークは、商品にとって「顔」と言えるものです。 
食品関係のロゴマークを制作するときは、その「顔」を作ることがその他の商品にくらべ、
重要になってきます。 
たとえば、飲料のロゴマークを作ったとして、その商品の名前が「Lightning」だとします。
(説明がわかりやすくなるため、わざと飲料には関係ないネーミングにしました) 
すると図1のように「Lightning」の文字をただ表示したのでは、この商品が何なのかわかりません。図2のように飲料を象徴するものイメージに文字を合わせる事によって、この商品が飲料である事がわかります。
  
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| 図1 | 図2 |  
 
  
ここでもう一つ問題が出てきます。この飲料がどういうものなのかが表現されてない事です。 
表現すべき事は、味や色、香りや飲み心地等多々あります。 
ここでは、炭酸飲料と言う事を表現してみます。図3のように泡のイメージを付加すると炭酸飲料
である事が見てわかるようになります。
  
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| 図3 |  
 
  
このように食品のロゴマークを制作するときには、「何を表現したいか」が他の商品よりも重要に
なってきます。
 
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