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どうやったら強い機械の特許が取れるの?

 発明を的確に把握するとともに、充分に実施の形態を開示する必要があります。
 
 
(1)発明を的確に把握する。

 最初に行わなければならないとても大切な作業です。
 発明の把握を誤ってしまって、ボタンの掛け違いをしてしまうと、その後の調査・出願の労力と費用がすべて無駄になってしまいますし、他社の権利侵害の火種をつくることになります。
 発明を的確に把握できなければ、有効な実施形態を開示することもできません。

 具体的には、次のステップを踏んで、発明を把握します。

  ・これまでは、どのようにやっていましたか(従来技術)。
  ・そのやり方は、どんな不具合(課題)がありましたか。
  ・あなたはその不具合(課題)を、どのように解決しましたか(手段・構成)。
  ・その結果、どのような効果が得られましたか(効果)。

そして、上記のうちの手段・構成が、権利化をしたい部分になります。

 
ここで、理解の容易のため、簡単な文房具の発明について、「転がり防止の鉛筆」を例に取りますと、以下のようになります。

 ・従来、鉛筆は、円柱状の形状であった(従来技術)。
 ・円柱状の形状だと、斜めになっている場所に置くと、転げ落ちてしまい、芯が折れやすいという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした(手段・構成)。
 ・その結果、転がりにくく、転げ落ちて芯が折れることもないという効果が得られる(効果)。

そして、「鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした」手段・構成が、権利化をしたい部分になるわけです。


 機械の発明についても同様です。

例えば、駅などに設置されている貸しロッカー(いわゆるコインロッカー)の硬貨投入装置の構成を例に取ってみます(少々時代遅れの貸しロッカーですが・・・)。

 ・従来、貸しロッカーは、使用しているときもそうでないときでも硬貨投入口は開いたままであった(従来技術)。
 ・このため、使用中であることに気づかずに貸しロッカーに硬貨を投入してしまうことがあり、硬貨計数装置や、ロック機構の故障の原因となってしまうという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構(例えば、カム機構)を利用して、貸しロッカーから鍵が抜かれて貸しロッカーが使用されている場合には、硬貨投入口を遮蔽板が塞ぎ、硬貨の投入を禁止するとともに、貸しロッカーに鍵が挿入されて解錠されている場合には、遮蔽板を待避位置に待避させて硬貨投入口を開くことを考えた(手段・構成)。
 ・その結果、ユーザがロッカーの使用中であることに気づかずに貸しロッカーに硬貨を投入してしまうことが無くなり、ひいては、硬貨計数装置や、ロック機構の故障を招くことがないという効果が得られる(効果)。
 
そして、「鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構(例えば、カム機構)を利用して、貸しロッカーから鍵が抜かれて貸しロッカーが使用されている場合には、硬貨投入口を遮蔽板が塞ぎ、硬貨の投入を禁止するとともに、貸しロッカーに鍵が挿入されて解錠されている場合には、遮蔽板を待避位置に待避させて硬貨投入口を開く」手段・構成が、権利化をしたい部分です。

(2)充分な実施形態を開示する。

上記のように的確に把握された発明を強い特許にするためにはどのようにすればよいでしょうか。

 強い特許というのは、基本的には次の3つの要件を備えている特許だといえます。
 すなわち、
  1)侵害追求が容易である、
  2)特許性が高く、無効になりにくい、
  3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない、
という要件です。
 これらをバランス良く備えた特許が強い特許となります。
 それでは、それぞれの要件について検討してみましょう。


 1)侵害追求が容易である。

 侵害追求が容易であるためには、さまざまな実施形態(手段・構成)を包含する請求項が記載されている必要があります。
すなわち、製品(実施品)態様の請求項だけでは、侵害の要件の立証が容易でなく、侵害追求が困難となることもあり得ます。

 例えば、上述の貸しロッカーを例にとると、鍵の操作に連動して硬貨投入口を遮蔽する遮蔽板を設けるに際して、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構を実際の製品と同一もの(例えば、カム機構)だけを開示し、特許の権利範囲を記載する請求項に記載していたのでは、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるため他の機構(例えば、リンク機構)を利用して同様の貸しロッカーを製造等しているものについて、侵害を追求できません。


    画像を挿入                  画像を挿入             カム機構                  リンク機構

したがって、これらのものにも侵害が追求できるように、「他人がこの実施形態から逃れようとしたら、どのような態様で実施してくることが考えられるか?」を充分に検討し、鍵の操作を遮蔽板に伝達させるための機構として様々な態様に対応する請求項についても記載しておくのが好ましいこととなります。

なお、上述の貸しロッカーの発明において、請求項が、「鍵の挿入または抜取により硬貨投入口を開閉する遮蔽板を備えたことを特徴とする貸しロッカーの硬貨投入口開閉装置」と記載されており、カム機構やリンク機構、その他さまざまな中間伝達機構を用いた実施形態を含むように記載されていたとしても、カム機構を用いた実施形態のみの記載しかない場合には、例えば、リンク機構を用いて硬貨投入口を開閉する遮蔽板を用いた他人の実施には、特許権が及ばなくなり、特許権侵害を追求できなくなります。
したがって、カム機構の他に、リンク機構などの他の中間伝達機構を用いた実施形態を記載しておく必要があります。


 2)特許性が高く、無効になりにくい。
 
 特許性が高く、無効になりにくくするためには、従来技術との技術思想上の相違を可能な限り主張できるように分析し、明細書に記載しておく必要があります。
 すなわち、従来技術の構成と出願発明の構成との差異を明確にすることはもちろん、従来技術の構成と出願発明の構成との差異よってもたらされる作用・効果の差異を明確にしておく必要があります。
 この結果、進歩性の根拠を主張しやすくなり、無効原因をより回避することができます。
 3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない。
 さらに解釈上の疑義が生じにくく、隙がないということは、用語が明確(社内用語等は用いず、JISで用いられている用語を用いる)であるとともに、技術的範囲が明細書に開示された実施形態に基づいて解釈されたとしても必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示しておくことが望まれます。

 そして、上記の要件を満たすためには、より多くの実施形態をご呈示いただくことが必要となります。これにより、より上位概念を抽出し、必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示した強い権利を生み出すことが可能な明細書を作成することができるのです。


機械特許の出願に際して

 ところで、機械の特許は、基本的には、目に見える構成およびその背後にあるアイデアを権利化することにあります。
 したがって、具体的な装置構成、動作手順などを可視化しつつ、かつ、可視化された範囲内に権利が限定されないように様々な視点から表現していくことが大事になります。
 このために必要な資料としては、以下のようなものが挙げられます。
 (A)装置構造、構成を説明するための資料
 (B)機械の動作、制御状態を説明するための資料
 (C)ユーザやオペレータとの間のユーザインタフェースを説明するための資料

 以下、より詳細に説明します。

(A)装置構造、構成を説明するための資料
 装置構造、構成を説明するための資料は、どのように発明を具現化したのかを明確にするために、具体的な機械、システムについて説明します。
 例えば、
(1)単一の機械であれば良いのであれば当該機械の外観図および発明に関連する部分の拡大図(例えば、加工対象の部材を保持する機構に特徴があるのであれば、当該保持機構の拡大図)が必要です。
具体例:
(平面図)



(出典 特許第3797209号公報)
(外観図)



(要部の断面図)



(出典 特許第3857398号公報)
(要部の拡大図)



(出典 特開2008−221364号公報)

(2)複数の機械が連携して動作するシステムが必要ならば、当該システムを構成する機械の連携関係がわかる説明図が必要です。
(システム構成図)



(出典 特許第3005132号公報)

(B)機械の動作、制御状態を説明するための資料  機械の動作あるいは制御状態を説明するためには、タイミングチャートやフローチャートが必要となります。
(動作タイミングチャート)




(出典 特開2008−221364号公報)
(動作処理フローチャート)



(出典 特表2005−502198号公報)

(C)ユーザやオペレータとの間のユーザインタフェースを説明するための資料
 また、機械の使い勝手などを説明するためには、操作画面などのユーザインタフェースを説明するための図面も必要となります。




(出典 特開2009−289169号公報)

実際にご相談いただく際に

 上述したような資料を当初からそろえるのはなかなか難しいことと思います。弊所に実際にご相談いただく際には、こんな機械を使ってこんなことをやっているんだけど……、というようなご説明でも結構です。可能な限りの資料を持ってきていただき、お打ち合わせの中で、必要な資料をそろえていきましょう!


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