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    【著作権】ここが大事!業務委託における著作権の帰属 弁理士児島敦のメルマガ 【第13号】

     2011年7月6日 第13号(毎月第1・3水曜日配信予定)

     動画投稿サイトYouTubeは、世界中の人々が利用する人気サイトです。
     でも、著作権を侵害する動画の投稿が後を絶たないのも事実。
     そこでYouTubeは、違反動画をアップロードしたユーザーには、
     “著作権学校”で再教育を受けてもらうという対策を始めました。
     著作権侵害の通知を受けたユーザーは、“著作権学校”の動画を見て、
     質問に正しく答えないと、投稿を続けられないという仕組みだそうです。

     “著作権学校”という発想が、なかなか面白いですね!
     今回は、中小企業が必ず知っておくべき著作権のお話をしましょう。
     
     【著作権】ここが大事!業務委託における著作権の帰属

     あなたの会社が作った商品の著作権について考えたことはありますか?
     商品の著作権がどこに帰属するのか、きちんと把握できていますか?

     ここでは、めまぐるしい速さで変化しつづけているIT業界に目を向け、
     コンピュータ・プログラムを例にとってみましょう。

     あなたの会社が、あるコンピュータ・プログラムを作成したとします。
     作成については、社内の有能な従業員が担当し、ひとりで仕上げました。
     さて、このプログラムの著作権は誰のものになるでしょうか?
     従業員のものですか? 会社のものですか?

     法人の下で従業員が職務上作成したプログラム(著作物)の著作権者は、
     特別な契約・定めがない限り、法人のものとなります。
     これを法人著作と呼びます。

     では、あなたの会社が、クライアントの会社Aの発注を受けて、
     コンピュータ・プログラムを作成、納品した場合はどうでしょうか?

     この場合も、特別な契約・定めがない限り、
     著作権を所有するのは、あなたの会社となります。

     ただし、発注者である会社Aが、あなたの会社に対して、
     プログラムに関する全ての著作権を譲渡する旨の契約を要求することも、
     決してめずらしいことではありません。

     会社Aが大事なクライアントである場合、
     あなたの会社はこの契約にサインせざるを得ないかもしれません。
     ところが、あなたはこう考えました。
     「せっかく出来のよいプログラムが出来たのだから、
     もっと多くの人が使えるようにパッケージ商品として販売したい」

     この場合、あなたの会社はどうすべきでしょうか?
     あなたの会社は、会社Aから許諾を受ける必要があるでしょうか?

     一般的に考えれば、このプログラムのパッケージ商品化は、
     「著作物の翻案(※)」と考えられます。

     (※)「翻案」とは、元の著作物の筋書きを変えることなく、
     具体的な表現を変えることをいいます(著作権法27条)。
     小説を脚本や映画にしたり、
     オリジナル文章をダイジェスト化することは「翻案」にあたります。

     そして、翻案の場合、著作権を侵害する可能性があるのは、
     会社Aのもつ著作権の中の翻案権(著作物を翻案する権利)のみです。

     著作権の譲渡だけで、翻案権を譲渡する旨の契約をしていなければ、
     翻案権はあなたの会社のものです。
     パッケージ商品化にあたり、会社Aから許諾を得る必要はありません。

     しかし、翻案権を譲渡していたり、
     パッケージ商品化が複製にあたる場合は、
     会社Aから許諾を得る必要があります。

     自社で開発した製品や商品であっても、著作権の取扱いは要注意!
     正しく著作権について理解し、適切な措置・対応を取りましょう。

     <次回は特許をクローズアップ!>
     「下請け会社こそ特許を取ろう!」をテーマにお話しします!



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