■アースベルト事件(最高裁 S63.7.19 昭和61年(オ)30号・31号事件)

    周知性の獲得時期は?
    ●事件の概要
     昭和53年6月から、自動車接地具に「アースベルト」の商標を使用し、製造・販売していた原告は、昭和54年3月末ごろから原告製品の形態と酷似する製品に「エンドレスアースベルト」という表示を使用して販売を開始した被告製品の販売ならびに商標の使用の差止め、損害賠償等を請求した。1審は、原告商標は遅くとも被告製品の販売開始より前に周知性を備えていることが必要であるところ、被告商品の販売が開始された昭和54年3月頃までに原告商品の形態及び原告商標が被告製品の商品表示として周知性を備えていたとはいえないと判断して原告の請求を棄却した。控訴審も1審判決を維持したため、控訴人(原告)が上告した事件。
    ●裁判所の判断
     自己の商品表示が不正競争防止法平成5年改正前1条1項1号(改正後2条1項1号)にいう周知の商品表示に当たると主張する上告人(原告・控訴人)が、これと類似の商品表示の使用等をする被上告人(被告・被控訴人)に対してその差止め等を請求するには、上告人の商品表示は、不正競争行為と目される被上告人の行為が上告人の請求との関係で問題になる時点、すなわち、差止請求については現在(口頭弁論終結時)、損害賠償の請求については、被上告人が損害賠償請求の対象とされている類似の商品表示の使用等をした各時点において、周知性を備えていることを要し、かつこれをもって足りるとして、原判決(控訴審判決)を破棄し原裁判所に差し戻した。

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