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    【著作権】譲渡できない著作人格権に注意しよう! 弁理士児島敦のメルマガ 【第16号】

     2011年9月7日 第16号(毎月第1・3水曜日配信予定)

     本来メルマガを発行する8月第3週水曜日は
     ちょうどお盆休みの時期に当たってしまいましたので、
     勝手ながらメルマガを休刊させていただきました。
     事前の連絡もせずに休刊してしまいすみませんでした。
     
     先日、人気サイト「ニコニコ動画」は、EMIミュージック・ジャパンと
     契約、同社が原盤権を保有・管理する音楽原盤(CD音源)の一部が、
     利用可能になったと発表しました。
     利用許諾済みの曲はユーザーが動画のBGM等に使用することができます。

     インターネット時代を迎えたいま、著作権は権利の保護だけでなく、
     消費者のニーズに応えた管理方法が求められているようですね。
     あなたの会社は、時代の変化を見極めた知財戦略ができていますか?
     今回は、著作権の注意ポイントについてお話ししましょう。
     
     【著作権】譲渡できない著作人格権に注意しよう!

     著作者の権利とは何でしょう?
     著作者のもつ権利はいくつあるか知っていますか?

     あなたが作家で、小説を書いたとしましょう。
     著者であるあなたがもつ権利は、2つあります。

     人格的な利益を保護する著作者人格権と、
     財産的な利益を保護する著作権(財産権)です。

     著作者人格権は、あなた(著作者)だけがもつ権利です。
     これは譲渡、相続することはできません。
     あなた(著作者)の死後も一定の範囲で守られることになっています。

     一方、財産権の意味合いをもつ著作権は、
     その一部または全部を譲渡、相続することができます。
     あなた(著作者)が著作権を誰かに譲渡・相続させた場合、
     著作権者はあなた(著作者)ではなく、譲渡・相続した人になります。

     では、あなたの会社が、ゲームソフトを開発したとしましょう。
     法人が著作権をもつ場合の要件は──
     1.法人等の発意(意思)に基づくこと
     2.法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物であること
     3.法人等が自己の名義で著作物を公表すること
     4.著作物の作成時の契約、勤務規則に別段の定めがないこと
     以上を満たす場合、
     法人著作として、あなたの会社がゲームソフトの著作権をもちます。

     そして、あなたの会社も個人の場合と同様に、
     著作者人格権と著作権を持つことになります。
     仮に、あなたの会社が発注側のクライアントと著作権を譲渡する契約を
     結んだとしても、譲渡できない著作者人格権は残ることになるわけです。

     ちなみに、著作者人格権には、以下の3つの権利があります。
     1.公表権:著作物を公表するかしないか、
       どのような方法で公表するかを決めることができる権利
     2.氏名表示権:著作物の公表時に著作者名を表示し、
       または表示しないことを決めることができる権利
     3.同一性保持権:著作物の内容等を勝手に改変されない権利

     特に、「同一性保持権」については要注意です。
     「著作権を譲渡してもらったのだから、内容を改変する権利がある」
     相手がそう勘違いしてしまい、トラブルに発展するケースは、
     決して少なくありません。

     あなたの会社は、自社の著作者人格権をちゃんと行使できていますか?
     あなたの会社は、他社の著作者人格権をうっかり侵害していませんか?

     著作権に対する認識不足のせいで不利益をこうむったり、
     トラブルを起こして裁判沙汰になったりしては、目も当てられません。

     著作権についての正しい知識を身につけて……
     あなたの会社の知財戦略を強化していきましょう!

     <次回は特許をクローズアップ!>
     「新商品のアイディアはこうして掴もう!」をテーマにお話しします!



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