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    【著作権】著作権はどうなる?ニュースの場合 弁理士児島敦のメルマガ 【第51号】

     2013年9月30日 第51号(毎月2回配信予定)

     最近話題のTPP交渉。実は知財の分野でも影響は少なくありません。
     
     例えば、著作権侵害や商標権侵害について、アメリカは権利者の告訴が
     なくても、起訴・処罰ができる非親告罪にすることを求めています。
     また、著作権の保護期間は日本では現行50年ですが、
     アメリカは70年にするよう要求しているのです。
     
     TPP交渉の行方について、我々弁理士も注視していきたいと思います。
      
     【著作権】著作権はどうなる?ニュースの場合

     事実を報道するニュース記事。
     これらには著作権があるのでしょうか?

     事故のニュース、天気予報、訃報……
     これらの記事は著作物と言えるのでしょうか?

     ちょっと著作権を勉強している人なら、
     著作権法の第10条2項「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、
     前項第一号に掲げる著作物に該当しない」と知っているでしょう。

     さらに、もっと著作権を勉強している人なら、 
     新聞記者が他社の新聞記事を盗作して著作権法違反に問われた
     事例があることを知っているかもしれません。

     「ニュースは著作物に該当しないと言っているのに、
      著作権法違反になることがあるってどういうこと?」

     ここまで読んで、そう疑問に思うのは当然です。
     でも、ちょっと待ってください。
     ニュース記事にもいくつかの種類があります。
     ニュース記事ならすべて著作権フリーというわけではないのです。

     例えば、あなたが毎日読んでいる新聞に掲載されている記事も、
     いくつかの種類に分類することができます。
     
     1.事故や事件などの時事ネタを報道するニュース
     2.社会や生活の出来事を報道するニュース
     3.新聞社の立場や主張を述べる社説
     4.記者の見解や主張を述べるコラム、署名記事

     1、2については、いつ、どこで、誰が、何を、どのようにして、
     したかという骨格だけからなるニュース記事であれば、
     上に述べた著作権法の第10条2項の通り、著作物には該当しません。

     しかし、……
     1、2であっても、盛り込む事項の選択、記事の展開の仕方、
     文章表現の方法等に創作性があると認められれば、著作物に該当します。
     したがって、1、2のニュース記事であっても
     著作物に該当するものが多いと考えられます。

     3については、ただの「事実の伝達」ではなく、
     書いた人の考えが独自に反映されるため、著作物に該当します。

     ただし……

     著作物であっても、
     著作権法第39条では、時事問題に関する論説は禁転載の表示がない限り、
     他の新聞、雑誌等への転載ができるとしています。
     時事問題に関する論説は他の報道機関等が紹介、解説、批判などのために
     自由に利用できるようにした方が健全な民主主義社会の形成に有益である、
     との考えに基づくものです。

     したがって……

     本来の趣旨を逸脱した利用は認められないと
     考えたほうがよいでしょう。

     さて、4についてですが……

     これは、記者個人の考えや気持ちなどが含まれ、
     創作性のある表現であると認められることから、著作物に該当し、
     なおかつ、転載は認められません。

     新聞記事の盗作事件は、主に、こうしたコラムなどが問題になることが
     多いと言えるでしょう。
     
     簡単に「ニュースに著作権はない」と考えてはいけないのです。

     あなたの会社では、安易にニュース記事の複製や転載をしていませんか?
     著作権について正しい知識を身につけるために、
     あなたの近くの頼れる弁理士にお気軽にご相談ください。

      <次回は特許をクローズアップ!>
     「特許権はいつまで有効?「消尽理論」とは」をテーマにお話しします!
     


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