■サーファーTシャツ事件(東京地裁 S56.4.20 昭和51(ワ)10039号事件)

    応用美術は著作物として認められるか?-(1)
    ●事実の概要
     ティーシャツ等の卸、小売販売を業とする原告が、原告著作の図案をティーシャツに模様として印刷し販売していたところ、同一の図案をティーシャツに印刷し販売する業者が現れたので、この業者に対し著作権侵害を理由に損害賠償を請求した事件。

    ●裁判所の判断
     応用美術については、現行著作権法は、美術工芸品を保護することを明文化し、実用目的の図案、ひな型は原則として意匠法等の保護に委ね、ただ、そのうち、主観的な制作目的を除外して客観的、外形的にみて、実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して制作されたものと認められ、絵画、彫刻等の純粋美術と同視しうるものは美術の著作物として保護しているものと解するのが相当である。
     本件原画は、下方に花の模様を、左右両側にイルカの躍動的な動きを配置し、中心に波にのまれそうになりながらバランスをとろうとしているサーフアーの瞬間的な姿を描いたもので、全体として十分躍動感を感じさせる図案であり、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、客観的、外形的にみて、テイーシヤツに模様として印刷するという実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して制作されたものと認められる。したがつて、本件原画は、純粋美術としての絵画と同視しうるものと認められ、著作権法上の美術の著作物に該当するということができる。すなわち、本件原画はテイーシヤツに模様として印刷することを目的として制作されたものではあるが、著作権法上美術の著作物として客観的に著作物性を有するものであると認められる。

    本件原画(原告著作の図案)

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