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■電柱広告方法事件(東京高裁 S31.12.25 昭和31年(行ナ)12号事件) |
自然法則を利用した創作(科学技術の分野に属する創作)とはいえず発明に該当しないと判示した事例
●事件の概要
原告は、「電柱広告方法」について特許出願をしたところ、審判で拒絶されたため、東京高裁に審決取消訴訟を提起した事件。
原告の特許出願に係る発明の特許請求の範囲は、「あらかじめ任意数の電柱を以ってA組とし、同様に同数の電柱より成るB組、C組、D組等所要数の組を作り、これらの電柱にそれぞれ同様の拘止具を取り付けて広告板を掲示し得る如くなし、各組ごとに一定期間ずつ順次に広告板を交互に移動掲示することを特徴とする電柱広告方法」である。
●裁判所の判断
本件出願の電柱広告方法は、電柱及び広告板を数個の組として電柱に付した拘止具により、一定期間ずつ移転順回して掲示せしめ、広告効果を大ならしめようとする広告方法であると解すべきであるが、広告板の移動順回には少しも自然力(自然法則)を利用していないので、原告の出願の本件発明は、特許法1条にいわゆる工業的発明を構成しないものといわなければならない。
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